どうなる!?学校法人改革!

業界研究
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こんにちは、ここあです。

本日は現在議論が進んでいる学校法人改革について、改革の内容と改革に対する私見を述べていきます。

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学校法人改革について

これまでの経緯

大学界隈を賑わせている学校法人改革について、これらは昨日今日に始まった話ではありません。日本の大学は世界的にみると競争力が乏しく、「THE世界大学ランキング」等の世界大学ランキングにおいても、決して高い評価を得ているとは言い難い現状があります。また、学校関係者の不祥事も相次いでおり、大学組織に対する厳しい世論もあります。これらを打破するためにも、学校法人におけるガバナンス体制の抜本的改革が求められるようになりました。

改革の一環として、ガバナンスコードの制定や学校法人の情報公開の推進、評議員会機能や監事機能の充実等が今日までに実施されてきました。しかし、2021年秋頃には有名大理事長の不祥事が取り沙汰されるなど、これまでの学校法人のガバナンス改革が有効な打開策にはなっていないという現状があります。

ここあ
ここあ

学校法人の運営には様々な課題があるんだね。

今回実施される見込みのガバナンス改革(2022.3.17現在)

文部科学省HPに掲載されている学校法人制度改革特別委員会(第5回)の資料によると、主に次の内容がガバナンス改革として実施される見込みになっています。

理事会の監督機能によるガバナンス強化

• 理事会による理事長の選定・解職を法定。
• 重要事項の決定につき、個別の理事への委任を禁止。
• 理事に対し理事会への職務報告を義務付けるとともに、理事会の公正や活動状況等の情報について、事業報告書における情報開示を促進。
• 大臣所轄学校法人においては、外部理事の数を現行から引き上げ。

評議員会のチェック機能によるガバナンス強化

理事の選任については、評議員会その他の機関を選任機関として寄附行為上で明確化。評議員会以外の機関による選任の場合は、評議員会からの意見聴取を義務付け。
• 理事の客観的な解任事由を法定。(法令違反、職務義務違反、心身の故障等)
• 評議員会に、理事選任機関が機能しない場合の解任請求、監事が機能しない場合の差止請求・責任追及の請求等を認める。大臣所轄学校法人の評議員会の招集要件を緩和。
• 理事の任期は4年を上限とし、監事・評議員の任期を超えない範囲で寄附行為で定める。(重任は可)
• 監事の不正報告、所轄庁の解任勧告の対象に評議員を含める。
• (校長理事制度は、解任事由がある場合に理事としての解任がなされることを前提に維持。)

評議員の選任と評議員会の構成等の適切化

評議員の選任については、評議員会を選任機関として明確化し、理事・理事会による選任に一定の上限を設定。あわせて、評議員に求める資格・能力の要件を明確化。
• 理事と評議員の兼職を禁止。併せて、評議員の下限定数を引き下げ。
• 評議員会機能の健全な実質化・可視化を図るため、役員近親者、教職員、卒業生等、属性に応じた上限割合を設定。知事所轄学校法人については、規模や関係者の範囲も踏まえて円滑な事業継続に配慮。
• 評議員の任期は6年を上限とし、寄附行為で定める。(重任は可)

監事の地位の独立性と職務の公正性の確保

• 監事は評議員会が選任するとともに、役員近親者の監事就任を禁止。
• 理事と同様、監事の客観的な解任事由を法定。
• 監事の任期は理事の任期と同等以上となるよう寄附行為で定める。
• 大規模大臣所轄学校法人については、監事の一部を常勤化することとする。
• 評議員会と協働し、的確な判断をするため、監事が評議員会に出席し、意見を述べる責務を明確化。

重層的な監査体制の構築

• 大臣所轄学校法人において、リスクマネジメントや内部監査、監事への内部通報等の内部統制システムの整備を理事会に義務づけるとともに、会計監査人による会計監査を制度化。その際、私学法及び私学振興助成法に基づく計算書類や会計基準を一元化し、両法に基づく監査の重複を排除。
• 事業報告書において学校法人のガバナンスに関する情報を積極的に開示する仕組みとするとともに、計算書類においてはセグメント別の情報表示を検討。
• 子法人の設置により、ガバナンス構造に間隙が生じないよう、計算書類の注記における記載事項等の見直しを検討するとともに、監事・会計監査人の調査対象に子法人を含める。

その他

• 役員等による特別背任、目的外の投機取引、贈収賄及び不正手段での認可取得について、これまでの不祥事事案を踏まえ、他の公益法人制度に合わせて刑事罰を新設。
• 学校法人が私人の寄附財産等により設立・運営されることを示す意義に鑑み、「寄附行為」の名称は維持。

学校法人改革による影響

上述した原案のままで法改正がなされる前提となりますが、次の点については各学校法人に対する影響が特に大きいと思われます。

理事・評議員を評議員会で選任すること

校長理事等を除くと現在は寄附行為の定めにしたがって理事や評議員が選出されており、多くの学校法人では理事会で選任されています。例外はあるものの、今回のガバナンス改革により理事及び評議員の選任権限が評議員会に移るため、評議員会による理事会への牽制機能が強化されることになりそうです。評議員会の影響力が大きい学校法人においては、特に注意が必要かもしれません。

監事の一部を常勤化すること

大規模大臣所轄学校法人については監事の一部を常勤化することが求められるようです。現在、常勤の監事をおいていない学校法人においては、監事の雇用形態や具体的な職務、サポート体制等の整備が必要となります。なお、常勤監事として退職した教職員が就任する場合等には、執行部門と近くなりすぎないようにすることや自己の関わった業務についての監査を避けることに注意しなければなりません。

以上、影響が大きいと思われる点を述べましたが、個人的には今回の学校法人改革による各学校への影響は“さほど大きくない”と考えています。もちろん、私学法改正に伴う寄附行為変更は必要でしょうから、担当部局は業務に追われることになるとは思いますが、果たして今回の改革が本当に効果があるのかという点では疑問が残ります。

なお、当初の学校法人ガバナンス改革会議からの提言には、「評議員会を最高監督・議決機関とする」などが取り上げられていましたが、私大連や私大協のような私学団体からの強い声に、方針の修正を余儀なくされたようです。(評議員会が最高監督・議決機関になっていたら、さらに混乱していたかもしれませんが。。)

おわりに

現在議論が進んでいる学校法人改革についてお伝えいたしました。

近日中には方向性が固まるはずですので今後の議論にも注目です。学校法人制度改革特別委員会の資料等は文部科学省のHPから確認できますので、よかったら目を通してみてください。今回の改革により、学校法人が抱えている課題等がいち早く解消されることを切に願います。

以上、お読みいただきありがとうございました!

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