日々の業務に、大きな不満があるわけではない。それでも、ふとした瞬間に、こんな考えが頭をよぎることがあります。
「この働き方を、あと何年続けるんだろう」
私立大学職員という仕事は、専門性が高く、やりがいもある一方で、外からは実態が見えにくい職種でもあります。だからこそ、自分のキャリアを大学の外に置き換えて考える機会は決して多くありません。
一方で、制度や環境、そして大学業界を取り巻く状況が変わっていく中で、「今の場所に留まり続ける」という選択について、一度立ち止まって考える人が増えているのも事実です。
この記事では、私立大学職員が転職を考えるときに抱きがちな不安と、その不安をどのように整理すればよいのかについて、現場目線で整理していきます。
私立大学職員が転職を意識し始める、よくあるきっかけ
転職を考え始める理由は、人それぞれです。ただ、現場で話を聞いていると、いくつか共通するきっかけがあります。
業務量と責任の増加
学生数の減少や人員配置の見直しにより、一人あたりの業務量や責任が増している大学は少なくありません。
以前は複数人で分担していた業務を、気づけば一人で担当するようになっていた。
そんな変化が続くと、「この状態がいつまで続くのか」と考えるようになるのも自然なことです。
将来像が描きにくい
昇進や給与、役職のイメージが見えにくい。
大学そのものの将来についても、楽観視できない情報が増えてきている。
今すぐ困っているわけではないからこそ、「このままでいいのだろうか」という違和感が、少しずつ積み重なっていきます。
学生・保護者対応による消耗
学生対応は、大学職員にとって重要な役割です。
一方で、感情労働の側面が強く、知らず知らずのうちに心身の負担が蓄積していくこともあります。
「誰かの役に立ちたい」という思いと、自分の余裕のなさとの間で揺れる中で、環境そのものを見直したくなる人もいます。
自分の経験への不安
大学特有の業務を長く経験するほど、「このスキルは、大学の外でも通用するのだろうか」と不安になることがあります。
これは能力の問題というより、比較対象が見えにくいことによる不安だと言えるでしょう。
私立大学職員の仕事は、転職市場でどう見られるのか
では、私立大学職員の経験は、転職市場でどのように評価されるのでしょうか。
結論から言えば、評価される点と、伝え方に工夫が必要な点があるというのが現実です。
評価されやすい経験・スキル
大学職員の業務を整理すると、一般企業でも求められる要素が多く含まれています。
- 学生・教員・業者など多様な立場との調整力
- 規程や制度を踏まえた運用経験
- 文書作成や説明のスキル
- クレームやトラブルへの対応
- 予算管理、契約事務、スケジュール調整
問題は、これらが本人にとって当たり前になりすぎていることです。
評価されにくくなりがちな点
一方で、転職活動では次のような点でつまずくケースも見られます。
- 大学用語のまま業務を説明してしまう
- 年数だけを強調してしまう
- 指示された業務をこなす印象が強くなる
能力が足りないのではなく、伝え方の整理が不足しているケースがほとんどです。
転職しやすい人・苦戦しやすい人の違い
私立大学職員の転職には、いくつかの傾向があるように感じています。
比較的スムーズに進みやすい人
- 自分の業務を一般化して説明できる
- 工夫や改善点を言語化できる
- 環境の変化を前向きに捉えられる
年齢よりも、視点の持ち方や準備の仕方が影響する印象です。
苦戦しやすいケース
- 年数=スキルだと考えてしまう
- 「大学ではこうだった」が先に出てしまう
- 不満が言葉の中心になってしまう
これらは、少し整理するだけで大きく改善できる場合もあります。
「辞める」か「残る」か、二択で考えなくていい
転職を考え始めると、「続けるか、辞めるか」という二択で自分を追い込んでしまいがちです。
しかし、現実的にはその間にいくつもの選択肢があります。
- 学内での異動や役割の変更
- 転職活動だけしてみる
- 副業や発信を通じて外の世界に触れる
- 資格取得やスキル整理に時間を使う
選択肢を増やすことで、今の職場との向き合い方が変わることもあります。
転職は、必ずしも「今すぐ辞める」こととイコールではありません。
おわりに
私立大学職員として働いていると、日々の業務に追われる中で、自分のキャリアを立ち止まって考える時間が取りづらいものです。だからこそ、「転職」という言葉が頭に浮かんだとき、それをネガティブに捉えすぎる必要はありません。
転職をするかどうかは、すぐに結論を出さなくても大丈夫です。
ただ、考え始めた時点で、すでに一歩前に進んでいる。
私はそう思っています。
もし今、迷いの途中にいるのであれば、まずは自分がこれまでやってきた業務を整理し、「何ができるのか」「何を大事にしたいのか」を言葉にしてみてください。
選択肢は、辞めるか残るかだけではありません。
異動、学び直し、環境の見直し、転職活動をしてみる——
どれも立派な選択肢です。
この記事が、あなた自身のキャリアを見つめ直すきっかけになれば幸いです。
以上、お読みいただきありがとうございました!


