こんにちは、ここあです。
「大学職員」と聞くと、安定していてホワイトな職場というイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。就活生や転職希望者からも人気が高く、倍率は数十倍になることも珍しくありません。
しかし、実際に働いてみると「想像していたデスクワークとは違った」と驚く場面も多々あります。この記事では、現役で大学職員として働いている立場から「大学職員になるには」だけでなく、採用試験の実態や仕事のリアルな姿も交えて紹介していきます。

大学職員を目指して就活や転職を考えている方にとっては、採用試験の実態や現場で求められる資質を知っておくことが、大きな準備の一歩になります!
大学職員の仕事内容 ― イメージと現実
大学職員の仕事は、大きく分けると「学生支援」「教育支援」「入試・広報」「総務・財務」といった分野に分かれます。
求人票を眺めるだけでは漠然として見えるかもしれませんが、現場に立つとそれぞれに濃い人間関係と調整業務が存在します。
学生対応
もっとも多いのは、学生課や学務課と呼ばれる部署での学生対応です。履修登録や試験、奨学金、留学相談など、内容は多岐にわたります。
印象的だったのは、病気や家庭の事情で悩む学生と向き合う場面が想像以上に多いことです。教科書には載っていない相談ばかりで、こちらも人としての柔軟さや寄り添う姿勢が求められます。
行事前の忙しさ
「大学職員=定時退社」というイメージは半分正解で半分誤解です。日常業務は比較的落ち着いていますが、入学式や卒業式、オープンキャンパス前は残業が増えます。
イベント運営は学生や教員、外部業者との調整が重なり、数か月単位での準備が必要になるため「縁の下の力持ち」としての働きが強く問われます。
大学職員の採用ルート ― 狭き門の実態
では、どうすれば大学職員になれるのでしょうか。
新卒採用
私立大学では、総合職(事務職)として新卒採用が行われています。ただし採用人数は少なく、1学年で数名程度という大学も珍しくありません。応募者数は数百人にのぼることもあり、倍率は想像以上に高いです。
中途採用
中途採用もありますが、社会人経験や専門スキルが重視されます。特に広報や国際交流の部署では、語学力やマーケティング経験がアピール材料になります。
契約職員からの正規登用
多くの大学では嘱託職員や契約職員の制度があり、そこから正規職員に登用されるケースもあります。ただし「大学によって登用の有無や割合が異なる」ため、応募前に調べておくことが大切です。
求められる資質 ― 現場で感じる本当のところ
採用試験の要項には「コミュニケーション力」「事務処理能力」などと書かれていますが、実際に働いてみると少しニュアンスが違うと感じます。
- 柔軟性
ルール通りに進まないことの方が多い。学生の体調や家庭事情に合わせて対応を工夫する柔軟性が必須です。 - 調整力
教員と学生、保護者、それぞれの立場の要望が食い違うことは日常茶飯事。その間を取り持つ「落としどころ」を見つける力が重要です。 - 忍耐力
同じ質問を一日に何度も受けることもあります。根気強く対応できるかどうかは意外に大きなポイントです。
大学職員を目指すなら押さえておきたい3つのポイント
ここからは、就活・転職を考えている方に向けて「大学職員になるには何を意識すればよいか」を3つに絞って紹介します。採用試験や面接でよく問われる内容を踏まえているので、具体的な準備の参考になるはずです。
資格やスキルで「事務処理に強い」ことを示す
大学職員に特定の資格が必須ということはありません。ただし、簿記やFP、TOEICなどの資格は「数字に強い」「国際的な業務にも対応できる」といったアピールにつながります。
また、資格そのもの以上に「基礎的なスキルを学び取ろうとする姿勢」が評価されやすいため、自己研鑽の一環として資格取得を検討するとよいでしょう。
面接で「学生対応への適性」を具体的に伝える
採用面接で頻繁に問われるのが「学生対応」の適性です。
たとえば「学生が体調不良で授業に出られない場合、どう対応するか」「奨学金の相談で不安を抱える学生にどう接するか」といったシチュエーションを想定し、答えを準備しておくことが重要です。
面接官は「相手の話を丁寧に聞く姿勢」と「必要に応じて適切な部署につなぐ判断力」が備わっているかを見ています。
大学業界の現状を理解しておく
最後に欠かせないのが、大学業界を取り巻く状況を理解しておくことです。
少子化による定員割れ、募集停止のニュース、私学助成金の動向などは試験や面接で話題に出やすいテーマです。
「大学は安定しているから入りたい」といった理由だけでは説得力に欠けるため、大学が抱える課題を把握し、自分がどのように貢献できるかを語れるように準備しておくことが大切です。
入職後に感じたギャップ
最後に、入職してみて「想像と違った」と思ったことも紹介しておきます。
- 人と向き合う時間が多い
事務作業以上に、学生や教員とのやり取りが多く、コミュニケーション力が仕事の質を左右します。 - 制度変更のスピード
高等教育をめぐる政策は頻繁に変わり、数年でシステムや規程が大きく変わることも。常に勉強が必要です。 - やりがいは“ありがとう”の一言
地味に見える仕事でも、学生から「ありがとうございます」と言われる瞬間が一番のやりがいになります。
おわりに
大学職員を目指す就活生や転職希望者にとって、倍率の高い採用を突破するには“事前の理解と準備”が欠かせません。資格や学歴はもちろん役立ちますが、それ以上に「人と向き合う姿勢」「柔軟さ」「大学業界への理解」が評価されると感じます。
安定していてホワイトな職場というイメージは一面の事実ですが、その裏では多様な人と関わり、突発的な対応を求められる場面も多いのがリアルな姿です。それでも「学生を支える裏方として働きたい」「教育現場に貢献したい」という思いがある方にとっては、大きなやりがいのある仕事だと思います。
以上、お読みいただきありがとうございました!