こんにちは、ここあです。
本日は、2022年11月に一般社団法人日本私立大学連盟が公開した「新型コロナウイルス禍の影響に関する学生アンケート(概要版)」に基づき、新型コロナウイルスが学生に及ぼした影響について、考察していきます。
記者懇談会の開催/「新型コロナウイルス禍の影響に関する学生アンケート(概要版)」の公表 | 一般社団法人 日本私立大学連盟 (shidairen.or.jp)
新型コロナウイルスが大学生に多大なる影響を及ぼしていることは言うまでもありませんが、具体的にどのような変化がみられのでしょうか。
調査概要
まず、調査の概要は次のとおりです。
<調査アンケート名>
新型コロナウイルス禍の影響に関する学生アンケート
<調査対象>
日本私立大学連盟に加盟している大学の全学部生・大学院生
◎ 回答大学数:121大学
◎ 有効回答数:58,082名
<調査実施期間>
令和3年12⽉3⽇〜令和4年1⽉23⽇
<調査項目>
「Ⅰ.基本事項」「Ⅱ.経済面への影響」「Ⅲ.大学生活(正課教育・課外活動含む)への影響」「Ⅳ.精神面への影響」の4つの側面と「その他(記述式)」に分けて調査項目を設定
調査結果
まずは、アンケートの総括から見ていきましょう。
上記のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、「アルバイトができず収入が減った(経済的な不安)」「友達に会えない(人間関係の希薄化)」「オンライン授業に変わった(授業形態の変化)」といった学生を取り巻く環境の変化が様々な悩みや不安を生み出しているという結果となりました。特に「就職や将来の進路」に関しては約51.8%の学生が不安を感じており、いかに学生の不安を払拭し、学修環境を創出できるかどうかが学生支援の鍵になると言えそうです。
続いて、学生を取り巻く環境の変化を見ていきましょう。
経済面
まずは、経済面ですが、
コロナ禍で収入が大きく減少(50%未満)した学生の実態として、
①「生活が苦しく、勉強どころではない」と回答する学生が10%程度いること
② 収入が減少していない学生と比較して、課外活動へ参加率が低い傾向にあること
という2点が大きな影響と言えるのではないでしょうか。
経済的な不安により勉強や課外活動に取り組める状況ではないという、学生生活の根底が揺らいでいる学生が一定数存在していることは、大変由々しき事態です。
特に経済的被害の大きい学生の場合、制限される生活の中で精神的に追い詰められてしまっている様子も散見されたようです。
経済的支援
コロナ禍で収入が大きく減少(50%未満)した学生に対して、大学や国からの経済的支援はどのように行われていたのでしょうか。
調査によると、約20%の学生が「必要だったが、⽀援を受けられなかった」と回答しており、支援を望む学生全員に支援が行き届いているとは言い難い状況でありました。
続いては、人間関係の変化についてです。
人間関係
人間関係の変化については、大学生特有の事象というよりも、属性問わず全員に当てはまる内容であるという印象です。しかし、大学生という人間関係の構築が大変重要となる時期に、社会との関わりが制約されたことによる個々人の精神面に対する負の影響は拭い切れないでしょう。
また、⾃由回答からは、誰にも会えないことで精神面へ影響が出ている様⼦や、健康への影響を考えるあまり⼈と会うのが苦痛になっている様⼦を伺うことができました。
最後に、授業形態について見ていきます。
オンライン授業
授業形態が対面からオンラインに変化した点が、学生にとっても教職員にとっても、最も大きな影響であったのではないでしょうか。
2020年3月~4月の情報系や教務系部署配属の皆さんのご苦労には感服します。泣
オンライン授業のメリットに挙げられている「体調などの理由で対面授業が困難な人にも適している。」については、合理的配慮の義務化に伴って需要が高まっていきそうです。
また、デメリットに挙げられている「資料を⾒ての課題ばかりで、授業を受けてる感じがなく、質が悪く感じた。」「資料を公開し、レポートを求めるだけの⼀方的で投げやりな講義があることに疑問を抱く。」といった教育の質低下については、速やかに対処する必要があるでしょう。
おわりに
本日は、一般社団法人日本私立大学連盟が公開した「新型コロナウイルス禍の影響に関する学生アンケート(概要版)」に基づき、新型コロナウイルスが学生に及ぼした影響について考察しました。
学生アンケートの統括では、
学生の不安を払拭し、学業に向き合うことのできる環境をいかに創出できるか。大学生への経済的支援のあり方や、遠隔と対面の特性をふまえた授業形態の使い分けなど、柔軟な対応が求められている。
と締められていましたが、まさにこの言葉に尽きると思います。学生のニーズに対して柔軟に対応していくことが、今、私たち教職員に求められています。
また、新型コロナウイルスにより、大学自体も変化を求められることになりました。この変化に対応できるのか、また、変化に対応し得る組織であるのかが、今後生き残っていく大学の必要条件となるかもしれません。
以上、お読みいただきありがとうございました!