令和4年度私立大学等改革総合支援事業の選定状況が発表されました!

業界研究
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こんにちは、ここあです。

2023年1月20日、文部科学省HPにて令和4年度「私立大学等改革総合支援事業」の選定状況が公表されました。令和4年度は609校から申請がなされ、そのうち252校が支援対象校として選定されています。選定状況は次のとおりです。

令和4年度改革総合支援事業選定状況 (mext.go.jp)
令和4年度改革総合支援事業選定状況(総表) (mext.go.jp)

ここあ
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みなさんの所属大学の名前はありましたか?

今回は、選定状況とともに公表されている「私立大学等改革総合支援事業委員会 委員長所見」に基づいて、今年度の改革総合支援事業の状況を確認していきます。

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私立大学等改革総合支援事業とは

私立大学等改革総合支援業は私立大学等経常費補助金の一種であり、私立大学等が組織的・体系的に取り組む大学改革の基盤充実を図るため、経常費・施設費・設備費を一体として重点的に支援する事業です。平成25年度より始まり、今年度で10年目を迎えています。
一定以上の点数を獲得した大学には、一般補助は「教員経費」「学生経費」の圧縮前額に一定割合(10%程度)を加算特別補助は回答内容をもとに点数化し、タイプ毎に表形式により増額されます。

2022年度は、次の4タイプにより調査票が構成されています。

タイプ1「『Society5.0』の実現等に向けた特色ある教育の展開」
タイプ2「特色ある高度な研究の展開」
タイプ3「地域社会への貢献」(地域連携型及びプラットフォーム型)
タイプ4「社会実装の推進」

また、実際の調査票は次のとおりです。

「令和4年度私立大学等改革総合支援事業調査票」より抜粋

このように、大学の取組みが点数化され、獲得点数に基づき補助金額が算出されています。

なお、私立大学等経常費補助金については、こちらをご覧ください。

私立大学等改革総合支援事業委員会「委員長所見」

早速ですが、私立大学等改革総合支援事業委員会委員長所見を抜粋しつつ紹介していきます。

「私立大学等改革総合支援事業」の意義

各種の設問については、求める取組の大枠の方向性は維持しつつ、内容の高度化を行うことなどにより、各大学等の継続的な改革を促進してきており、目指すべき改革の方向性を一覧化して大学等に示していると言える。本事業の開始以降、各大学等における改革が進捗したことで実施率が高くなったことにより設問を削除したものも多くあり(大学ポートレートの参加、初年次教育・入学前教育の実施、公募による学内研究費の配分等)、これは各大学等の改革の進捗を表していると言えよう。このように基盤的経費としての性質を十分に勘案しつつ、改革の実施状況を評価し、総合的にメリハリある配分を行うという点において、本事業は、各大学等における教育及び研究の改革を促す上で大きな役割を果たしており、今後ともこうした効果が期待される。

まずは委員長所見として、私立大学等改革総合支援の意義が示されていました。要約すると、「大学改革を促進し、メリハリある補助金配分を行うこと」が改革総合支援事業の目的であると言及されていますね。

選定に当たっての所見

各大学等における改革の取組は着実に進捗していると評価できる。
タイプ1については、数理・データサイエンス・AI教育や分野等を超えた教育の実施等が昨年度から大きく伸びるとともに、入学者選抜における記述式問題の出題についても進展が見られる。一方、今年度新設した項目(学修歴証明のデジタル化、入学者選抜における総合的な英語力の評価、多様な背景の学生の受入)等については、今後の取組の進展が望まれる。各大学等においてはこれまでの取組を改善し、教育の質のさらなる向上や入学者選抜改革の一層の発展を期待したい。
タイプ2については、研究マネジメントに係るSDの実施や外国語による学術論文作成支援等の項目について進捗が見られた。一方、研究力向上に係る学内計画の策定をはじめ未だ十分とは言えないものもある。私立大学等の研究力向上や機能強化の取組に対する支援は重要と認識しており、引き続き各大学等の取組に期待したい。
タイプ3のプラットフォーム型についても、単位互換等の実施、教職員の人事交流等の具体的な連携の取組や、地域における高等教育のグランドデザインの議論の実施に係る項目が進捗し、自治体や産業界の参画状況についても一定の成果が確認できた。また、地域連携型においても、地域課題解決の研究の実施や、履修証明プログラムの開講等で進捗が見られており、引き続き地域社会への貢献に資する改革の進展に向けた更なる努力を期待したい。
タイプ4については、産学連携の実績をより問う形となっているが、申請する多くの大学等で受託研究等による収入等、一定の実績を上げるとともに、産学連携をサポートする専門人材の配置や産学連携の取組を奨励・評価する仕組み等の取組に係る項目が進捗しており、これらの取組の加速によるさらなる実績に期待したい。
また、今回より改革の取組の進展を評価する設問を全タイプで導入した(昨年度はタイプ1のみ実施)。これにより、事業開始以来初めての選定となる大学等もあったところであり、選定大学等の固定化の緩和や継続的な改革に取り組む大学等への支援に資するものとなっている。

調査票の回答状況に基づいて、タイプごとに総括がなされました。全体としては「各大学等における改革の取組は着実に進捗していると評価できる」とのことであり、改革総合支援事業の成果が着実に表れているようです。

各大学等への期待

○ 大学等において教育の質を保証しその不断の向上を図ることは、本事業への申請の有無に関わらず重要である。本事業も10年目を迎えたところであり、私立大学等全体として教学改革の取組の重要性について、理解が浸透してきたことを鑑みると、今後、本事業に申請する大学等においては、教育及び研究力の向上にむけた更なる改革の進捗が期待される。
大学改革を円滑かつ効果的に進めるには、具体的な目標や行動計画を策定した上で、進捗状況のフォローアップを行い、その結果を次の改善に繋げることが重要である。本事業を大いに活用していただき、各校におけるPDCAサイクルの充実に向けて歩みを進めていただきたい。また、申請校及び選定校の設問の回答状況等のデータや分析結果を公表しており、各大学等の取組状況の相対化・見える化に役立てていただきたい。
○ 選定された大学等にあっては、本事業への選定をゴールではなく次なる改革に向けた通過点として取組の深化を追求することを期待する。選定されなかった大学等にあっても、本事業に応募すべく取り組んだ成果を基盤として、更なる改革・改善を目指して取組を進めていただきたい。特に、プラットフォーム型を構成する大学等においては、選定の有無にかかわらず、プラットフォームとして成果が出る取組を期待したい。これらの大学改革の取組の質の向上とともに、本事業を活用して得られた具体的な成果・効果については、積極的に社会に対して発信していくよう努力していただきたい。

今後は、現状以上に調査項目の難易度が高まっていきそうですね。
また、多くの大学で定着したと思われる調査項目は調査対象から外れ、新規項目が追加されることになるでしょう。各大学には継続的な改革が求められることになります。

文部科学省及び日本私立学校振興・共済事業団への期待

来年度以降も本事業を実施する場合、文部科学省及び日本私立学校振興・共済事業団には以下の点を期待したい。
○ 来年度の制度設計に当たっては、
・ 各大学等の継続的な改革を促す観点からは、予告なく従来のタイプを一新するような組み換えとならないよう配慮すること。
・ 当該年度内における各大学等の改革を促す観点からも、申請までに十分な準備が可能となるよう、各タイプの趣旨や選定方法について早期に周知すること。
・ より多くの大学等からの申請・改革を促す観点から、選定方法や設問について工夫すること。
○ 本事業による各大学等の改革の成果の定着と深化を促すとともに、その成果が社会に対して発信されるよう適切なフォローアップを行うこと。
○ 国費の配分方法として疑念を持たれることがないよう、調査票に記載された取組の実施状況について、理事長名による回答内容及び根拠資料のチェックリストの提出義務化により学校法人として責任を持った内容であることを担保するとともに、選定前の根拠資料の確認や選定後の現地調査等を通じたチェックを行うこと。

委員長所見では、大学への期待だけでなく、文科省や私学事業団へ期待することも示されています。特に、「各大学等の継続的な改革を促す観点からは、予告なく従来のタイプを一新するような組み換えとならないよう配慮すること。」については、私立大学側としても是非ともお願いしたいところです。

おわりに

本日は、選定状況とともに公表されている「私立大学等改革総合支援事業委員会 委員長所見」に基づいて、今年度の改革総合支援事業の状況を確認しました。

私立大学等改革総合支援事業に採択されることが一種の大学ブランディングとなっている側面もあるため、補助金獲得の観点だけではなく、広報的な側面からも重要な事業と言えます。
もちろん、不採択の大学は改革が進んでいないかと問われると決してそのようなことはないと思いますが、本事業への採択の有無が「大学力」を測るための重要な指標になっていることは間違いないありません。
調査項目を達成するためには組織レベルでの改革が求められることになりますが、一つひとつ、改革を推し進めていきたいところです。

ここあ
ここあ

私立大学等改革総合支援事業を通して、各大学の教学改革がより一層進みますように!

以上、お読みいただきありがとうございました!

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