学校基本調査について解説します!

基礎知識編
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こんにちは、ここあです。

本日は、文部科学省が毎年実施している「学校基本調査」について解説していきます。
皆さんも業務として学校基本調査の調査票作成に携わった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

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学校基本調査とは

学校基本調査とは、幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、大学、短期大学、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校等、全国すべての学校を対象とし、学校教育行政に必要な学校に関する基本的事項を明らかにすることを目的とした基幹統計調査であり、昭和23年から文部科学省が毎年実施しています。

ここあ
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基幹統計とは、国の行政機関が実施する重要な調査のことです。

学校基本調査の結果は次のように利用されています。

  • 教育行政上必要な法規の作成のための国会・議会等の参考資料及び当面の教育諸問題の検討、学校の設置・廃止等具体的な教育行政施策の検討・策定のための基礎資料
  • 国から地方公共団体に交付する地方交付税の算定及び教職員の給与、その他教育上必要な諸経費、補助金等の算定のための基礎数値
  • その他、一般の行政資料及び民間企業等における資料

また、毎年5月1日を調査基準日としており、文部科学省への提出締切は5月31日迄となっています。近年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、6月30日へと締切が延びています。なお、調査の回答は文部科学省御用達の政府統計オンライン調査総合窓口より行います。

ここあ
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様々な調査物(大学ランキングや各種アンケート等)が学校基本調査の数値を基に算出されているよ!

調査票について

学校基本調査では、「学校数・在学者数・教職員数・学校施設・学校経費・卒業後の進路状況」等が調査項目とされており、必要な情報を各調査票に従って文部科学省へ回答します。回答の対象となる調査票は学校の種類で異なっておりますが、今回は私立大学が回答すべき調査票のみご紹介します。

学生教職員等状況票

学生数、職員数及び教員数等を記入する調査票です。この調査票1枚で学校の基本的な事項が網羅されているため、一度作成してしまえば何かと便利な調査票です。

学生数は、学部生、大学院生(博士課程・修士課程・専門職学位課程)、専攻科生、別科生、科目等履修生・聴講生・研究生に分けて回答します。
なお、外国人学生や休学者は含めますが、現職教育及び教育職員免許法関係の講習生と通信教育部の学生は含めないようになっています。

教員数は、本務者と兼務者に分けて記載します。
本務者の場合、学部、教養部(一般教育)、大学院、附属病院、附置研究所、その他の所属に分けて漏れなく回答します。
兼務者の場合は、教員として勤務している者のうち、本務者以外の者を兼務者とします。非常勤講師は兼務者に該当します。

職員数は、事務系、技術技能系、医療系、教務系、その他に分けて回答します。多くは事務系に分類され、例えば教務系であれば、学生の実験や実習、実技等の指導をしている者のうち教員でない者の数を回答します。教務課や学務課の職員は該当しません。

学部学生内訳票

学部毎に調査票を作成し、学科別及び学年別に在学生数を回答します。また、最低在学年限超過学生数出身高校の所在地県別入学者数年齢別入学者数等も記入することになっているため、学部学生内訳表があれば、当該学部の在学生情報の統計が一目で分かります。

大学院学生内訳票

修士・博士前期・博士後期課程において、研究科毎に調査票を作成し、専攻別及び学年別に在学生数を回答します。学部学生内訳表と同様、最低在学年限超過学生数年齢別入学者数を記入する他、出身第大学等を記入します。

外国人学生調査票

日本政府から奨学金を支給されている留学生である国費留学生、自費による者や各都道府県や本国から奨学金の支給を受けている国費以外の留学生である私費留学生、 留学生以外のすべての外国人学生であり、主として日本の高等学校を卒業して大学に入学した外国人である留学生以外の外国人学生について、学科系統ごとにそれぞれ記入します。

外国人学生調査票は、上述の学生教職員等状況票の「3学生数(高等専門学校においては,学校調査票(高等専門学校)の「3学科別学生数」)」に回答された学生数のうち、外国人学生(留学生を含む。)について回答します。したがって、外国人学生調査票に回答された学生の合計が、学生教職員等状況票に回答された学生数より大きくなることはありません

卒業後の状況調査票

大学は学部毎、大学院は課程毎に調査表を作成し、卒業後の進路について2種類の調査票に分けて回答します。
(2-1)の調査票では、卒業後の状況別に卒業者を記入します。主に就職や進学に分類され、入学年度別の卒業者数も回答します。
(2-2)の調査票では、職業別就職者数や産業別就職者数を記入します。

学校施設調査票

大学の土地や建物について回答します。土地の用途別面積や建物の構造別面積、前年度から増減した建物の面積等についても記入することになっています。

調査結果について

学校基本調査の結果は文部科学省のHPにて閲覧することができます。
令和3年度学校基本調査の調査結果の概要は次のとおりです。

<在学生数>
幼稚園:100万9千人で、前年度より6万9千人減少
小学校:622万3千人で、前年度より7万7千人減少し、過去最少
中学校:323万人で、前年度より1万8千人増加
高等学校:300万8千人で、前年度より8万4千人減少
大学学部:262万6千人で、前年度より2千人増加し、過去最多
大学院:25万7千人で、前年度より3千人増加

令和3年度学校基本調査(確定値)の公表についてより抜粋

学部生の数値が上昇しているのは、高等教育の修学支援制度により、経済的理由により大学進学を断念する人が減少したことが一因でしょう。
一方、幼稚園、小学校では前年度よりも大きく数値が減少しており、特に小学校では過去最少の数値となっています。

余談ですが、内閣府による日本の将来推計人口によると、2053年には1億人を割って9,924万人、2065年には8,808万人になると予測されています。特に18歳人口は、2020年の約117万人から、10年後の2030年には約105万人まで落ち込むという予測です。大学の統廃合は更にスピード感を増していきそうですね。

おわりに

本日は学校基本調査についてお伝えいたしました。

やっつけ作業で回答しがちな調査物ですが、調査の背景や調査結果を意識しながら回答すると、新しい発見があるかもしれませんね。私個人としても、業務の一環で本調査票の作成に携わってきましたが、学生数や教職員数等の自大学の現状を改めて意識する良いきっかけとなりました。
皆さんも自大学の調査結果を確認し、学生や教職員の状況を再確認してみてください。きっとそこから新しい気付きが見つかるはずです。

以上、お読みいただきありがとうございました!

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