こんにちは、ここあです。
SNSは、今や学生生活に欠かせないコミュニケーションツールです。授業連絡、サークル活動、友人関係――便利である一方、大学現場ではSNSを起点としたトラブル対応が確実に増えています。
大学職員として学生対応に携わっていると、「まさか、ここまで大事になるとは思わなかった」という場面に立ち会うことも少なくありません。SNSトラブルの厄介な点は、水面下で進行し、発覚したときには既に拡散していることが多い点です。
本記事では、大学職員の視点から
- SNSトラブルが起こる背景
- 予防のために現場でできること
- 実際に起きたときの初動対応の考え方
について、実務に即した形で整理してみたいと思います。
なぜSNSトラブルは大学で起きやすいのか
まず前提として、SNSトラブルは「一部の問題学生だけが起こすもの」ではありません。むしろ、ごく普通の学生が、気づかないうちに当事者になっているケースが大半です。
大学で多く見られるSNSトラブルには、次のような特徴があります。
- 学内の人間関係がそのままオンラインに持ち込まれる
- クローズドな場(グループLINE、鍵アカ)で始まり、外部に漏れる
- 本人に悪意がなく、軽い気持ちで投稿している
例えば、サークル内の不満をX(旧Twitter)に投稿したつもりが、学内関係者に特定されてしまう。友人同士のやり取りをスクリーンショットで共有したことが、プライバシー侵害として問題化する。
学生本人にとっては「ちょっとした愚痴」「仲間内の冗談」でも、第三者の目に触れた瞬間に意味合いが変わってしまう――これがSNSトラブルの怖さです。
大学として求められるのは「起こさせない」視点
SNSトラブルが起きた後の対応も重要ですが、大学職員としてまず意識したいのは予防です。
とはいえ、「SNSを使うな」「投稿内容に気をつけろ」と注意喚起するだけでは、正直なところ効果は限定的です。学生は頭では分かっていても、実感が伴わないからです。
オリエンテーションでの伝え方を工夫する
予防の第一歩は、新入生オリエンテーションなどの場での説明です。
このとき重要なのは、
- 抽象論ではなく
- 実際に起きた事例をもとに
- 「自分にも起こり得る話」として伝える
という点です。
「SNSトラブルは処分対象になることがあります」と伝えるだけでは、どこか他人事になってしまいます。
例えば、
グループLINEの内容が外部に流出し、結果として学内調査が入ったケース
といった具体的なイメージを示すことで、学生の受け止め方は大きく変わります。
日常対応の中での“ひと言”が効く
もう一つ、意外と効果があるのが、学生対応の場面での何気ない声かけです。
- 「それ、SNSに載せても大丈夫な内容かな?」
- 「スクショって、相手の同意は取ってる?」
こうした一言は、説教ではなくブレーキ役として機能します。
職員がSNSの使い方に関心を持っている、見ている、という姿勢を示すだけでも、学生の行動は変わります。
SNSトラブルが発覚したときの初動対応
どれだけ予防に力を入れていても、トラブルがゼロになることはありません。重要なのは、発覚した直後の動きです。
ここで対応を誤ると、問題が長期化・複雑化しがちです。
事実確認を最優先にする
まず行うべきは、感情論を排した事実確認です。
- いつ
- どこで
- 誰が
- 何を投稿したのか
- 現在も閲覧可能なのか
スクリーンショットの有無や、拡散状況も含め、時系列で整理します。
この段階で「悪質だ」「問題行動だ」と判断を急がないことが重要です。初動での思い込みは、後の対応を難しくします。
学生本人の話を丁寧に聞く
次に、当事者となった学生から話を聞きます。
ここで意識したいのは、責める姿勢を見せないことです。
多くの学生は、
- 事の重大さに気づいていない
- もしくは、すでに強い不安を抱えている
いずれかの状態です。
職員が感情的になると、学生は防御的になり、必要な情報が出てこなくなります。「事実を確認したい」「状況を整理したい」というスタンスを崩さないことが肝心です。
学内連携を早めに行う
SNSトラブルは、学生課だけで完結しないケースが多くあります。
- 教務部門
- 広報
- 情報システム
- 場合によっては法務・顧問弁護士
初動の段階で、どこまで共有するかを整理し、一人で抱え込まないことが重要です。
処分よりも「再発防止」に目を向ける
SNSトラブルが起きると、どうしても「処分をどうするか」という話題に目が向きがちです。
もちろん、大学としての規程に基づく対応は必要です。しかし、職員としてもう一歩踏み込みたいのは、その後どう支えるかという視点です。
- なぜその投稿に至ったのか
- 背景に人間関係の悩みはなかったか
- 今後、同じことを繰り返さないために何が必要か
必要に応じて学生相談室につなぐ、教員と情報共有するなど、再発防止を意識した対応が、結果的に大学全体のリスク低減につながります。
おわりに ― SNSトラブル対応は「現場力」が問われる
SNSトラブルには、マニュアルだけでは対応しきれない側面があります。だからこそ、大学職員一人ひとりの現場感覚が問われます。
- 予防のために、日頃から学生とどう関わるか
- トラブル発生時に、どれだけ冷静に初動対応できるか
派手さはありませんが、こうした積み重ねが、学生を守り、大学を守ることにつながります。
SNSは今後も形を変えながら存在し続けます。だからこそ、「起きてから考える」のではなく、「起きる前から考える」視点を、これからも大切にしていきたいところです。
以上、お読みいただきありがとうございました!


